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共感覚、みんな持ってる説【認知科学】【共感覚比喩】

はじめに

 皆さんは、「共感覚」って知っていますか?

 よくアニメやマンガの中で、中二的な異能として扱われがちな特殊な感覚のことです。
 英語で「シナスタジア(synesthesia)」と言い、語感的にもカッコいいので、そういう風に扱われるのも不思議ではありません。

 たしかに、マンガ『SOUL CATHER(S)』の主人公のように、人の心・音楽といった抽象的なものをビジュアルや文字で理解するキャラというのは、天才的で非常に「立った」キャラだと言えます。

人の心・音楽をビジュアルや文字で理解している主人公(マンガ『SOUL CATHER(S)』より)

 しかし、心理学や脳科学・言語学といった学際的な分野であり、人間の認識について研究している「認知科学」という分野では、人間なら少なからず「共感覚」を持っているということが示唆されています。

 今回は、そんな誰しもが持っている「共感覚」について、具体的な例(特に「共感覚比喩」)を挙げながら、考えていきたいと思います。

共感覚について

 本題に入る前に、「共感覚」とはどういうものなのか、整理しておきます。
 共感覚とは簡単に言うと、「特定の情報に対して、通常働く感覚だけでなく、異なる感覚も同時に働く知覚・認識上の現象」を指します。

 例えば、音に色を感じるという共感覚があります。これは、通常聴覚から得られる「音」という情報に対し、「色」という別の知覚(視覚)が働いでいるというわけです。

 共感覚には個人差があり、また「文字に色を感じる」のように、同じ「視覚」という知覚の中でも異なる感覚として理解される例もあるようです。

共感覚みんな持ってる説

 このように、特殊で天才的な、常人は持ちえないかのように思われる「共感覚」ですが、実は「誰しも程度の差はあれ共感覚を持っているのではないか」というのが僕の持論です。

 持論といっても、根拠なく吹聴しているわけではありません。
 僕は認知科学という研究分野でいくつか取り上げられている事例を以ってそう主張しているわけです。(僕自身が量的・質的な調査をしているわけではないので、あくまで「説」ということでひとつ)

 例えば、簡単な例としてひとつの質問を提示してみましょう。

 皆さんは小学生のころ、教科ごとにノートの色を分けていませんでしたか?
 そして、それぞれの教科は何色のノートに対応していましたか?

 もちろんこの質問に決まった正解というのはありません。
 しかし、僕の次の答えに共感してくれる方は一定数いるかと思います。
 それは、

国語が赤、算数が青、理科が緑、社会がオレンジ

 というものです。

 個人調べでは、理科と社会が逆だという方もいましたが、多くの人は国語が赤・算数が青というイメージをもたれているようです。

天下の「いらすとや」の素材では、このような色分けになっていました

 この傾向は文化や所属しているコミュニティの文脈によって大きく変動する可能性が高いのですが、育った環境が全く違う人でも同じような答えになるのは面白いですよね。

共感覚比喩

 共感覚的な感覚を誰もが持っている例として、もう一つ面白いものがあります。

 それは、「共感覚比喩」という概念です。
 共感覚比喩は、「比喩」を研究している言語学の一分野で俎上に載せられているテーマです。

 この概念では、人は誰しも共感覚的な認識の枠組みをもっていると考えており、その認識の枠組みがあるために共感覚的な言語表現が起きている、と考えています。
 次の一文を見てください。

宮野真守は、顔がうるさいことで知られている。

 この文は普通に文として成立しており、違和感なく使えると思います。
 しかし、冷静に考えると、不思議な文でもあります。

 なぜなら、「顔」という視覚的にしか得られない情報に対し、「うるさい」という聴覚にもとづく表現によって形容されているからです。

 このように、「特定の事物(情報)に対して使われる、通常その対象を形容するのにつかわれる感覚でない感覚による形容表現」のことを「共感覚比喩」と呼びます。

 考えてみると、ほかにも共感覚比喩の例はたくさん浮かんできます。もし面白い表現の例が思い浮かんだら、ぜひコメントで教えてください!

おわりに

 ということで、「『共感覚』、みんな持ってる説」について解説してきました。

 このように、アニメやマンガで登場するような天才的「共感覚」は持っていなくても、それらの能力は僕たちが当然のようにもっている感覚の延長線上にあるものだと言えるでしょう。
 こう考えると、僕らも異能力者の卵みたいで、なんかカッコよく思えてきませんか?

 また上述のように、共感覚的な例も、共感覚比喩的な例も、探せばまだまだあると思います。
 冷静に考えてみると、このような認識が当然のように可能な人間(の頭)って面白いですよね。

 少しでも興味深く思ってくれたらうれしいです。

 最後に宣伝なのですが、最初に紹介したマンガ『SOUL CATCHER(S)』は結構面白いのでオススメです。
 僕も、ジャンプを購読していたときに楽しんで読んでいました。一応吹奏楽を扱った作品なのですが、どちらかというと異能バトルものとしてとらえておいた方が実態に合っているのかなとか思ったり。

 無料で試し読みができるジャンプ+のリンクを貼っておくので、もしよければ読んでみてください。

 それでは!

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